ハルさん家には、雑誌がいっぱい。

雑誌を中心にZINEやパンフレットなど、心揺さぶられた作品を紹介していきます。

バンクシー展に行く前に読む。『Casa BRUTUS No.240』バンクシーとは誰か?

昨年の11月ごろだったと思う。

横浜で遊んでいたときのこと。

 

あるチラシを見かけ、思わず手に取っていた。

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妹との置き手紙として使用した後の写真でごめんよ。

 

バンクシー”という名前には見覚えがあった。

オークション会場で作品がシュレッダーに裁断された!

ここ日本でも作品が見つかった!

だの、TVで騒いでいたものだから。

 

ちょうど、妹とバスキア展デートを楽しんだばかりだった自分は、

"これは良い、デートのお誘い材料が見つかった!"

と、るんるんで持ち帰った。

 

バンクシー展 天才か反逆者か

開催期間:2020年3月15日(日)~9月27日(日)

会場:横浜 アソビル

 

作品もなんとなく見覚えがあり、好きな方だったので、デート抜きにしても楽しみにしていた。

 

そんなときに、本屋さんでこんなものを見かけてしまった。

 

Casa BRUTUS No.240

バンクシーとは誰か?

(2020年2月7日発売)

 

"わけわからんまま展覧会に行くよりも、事前に勉強してた方が面白いかもしれない。"

そんな軽い気分でレジに連れてったのだけれど、これがとっても面白かった。

 

164ページというボリュームたっぷりさ。

だけれど、圧巻の作品写真や、編集者さんの楽しい言葉選びが相まって、バンクシー初心者の自分にも押し付けがましくなく、でも夢中になって読める雑誌だった。

 

どの企画もとっても面白くて、ページの隅々まで読みこみたいほどなんだけれど、

その中でも、特に面白かったページを紹介させてほしい。

 

  

BANKSY Incident
バンクシー事件簿。

あのオークション会場での”シュレッダー事件”や、東京で発見された”バンクシーの作品かもしれないネズミさん”など、近年話題となった事件を紹介するページ。

 

特に面白かったというか、新たな気づきをさせてもらったのが、このページ。

小池百合子さん、なぜ「カワイイねずみ」を保護したのですか?

 

なんて可愛いタイトルなんだろう。

 

ということはさておき。

東京都がこの”カワイイねずみ”を鉄板ごと保護したことは、ニュースで知っていた。

けれど、そのニュースのもととなった"小池さんのツイート"は、この雑誌を読んで初めて知った。

びっくりした。

TwitterやTVで批判されてばかりの、”世間から見た小池さん”しか知らなかったものだから。

こんな茶目っ気を持った方だったとは……

 

それに、

“カバンと傘”を持っていて寅さんじゃないかと思いましたけど。”

なんて言葉も意外で、思わず"こんな素敵な発想を持った方なのか”と、驚く。

 

さらに、現在はフェリー発着場の待合室(日の出埠頭2号船待合所)に展示されていることについて聞かれたときには、

“今後もできるだけ多くの方に楽しんでいただければと考えています。バンクシーはメッセージを伝えたいのだと思います。でも、どういうメッセージを受け取るかは、受け取る側の判断でしょう。トランクを持って旅をしているネズミですから、私は、現在の展示場所として船の待合室はふさわしいのではないかと思っています。”

と答えてらっしゃる。

 

いや、

自分がニュースをちゃんと見てないだけか。

 

こんな素敵な発想ができる方が行う活動を、これからはもっと興味を持って追いかけたい。

 

●低価格のショップが突如開店!?

2019年10月、ロンドンに突如オープンしたバンクシー公式ショップが取り上げられている。

 

このページは、とくに画像に添えられた小さい文字(キャプション)を読むのが面白い。

 

例えば、一見お洒落に見えるクッションにも、

 

2.BanksyCushions

“メッセージ入りクッションの風刺なのか「人生は短すぎる」、「クッションからアドバイスを聞くなんて」とそれぞれ刺繍されたクッション2個のセット。(£150)”

なんて解説がついており、バンクシーシニカルなユーモアに思わず、”ははーん”と唸ってしまう。

 

もちろん、それだけじゃあない。

本文を読んでも”ははーん”なのだ。

“つまり”ショップ”とは名ばかりで入店も購入もできないが、ショーウィンドウ越しに、いつでも誰でも無料で作品を鑑賞できる屋外展示なのだ。”

 

このあたりから、バンクシーという人間の魅力にぐんっと惹かれてゆく。

 

バンクシー作品の落札最高価格は!?

バンクシー作品の落札額ベスト5が紹介されているこのページ。

 

こちらも作品の紹介文が面白いのはもちろんだが、

生活の中で見かけることのない、大きな額を見て浮かぶ、

“そんなに作品が高く売られてもバンクシー本人とは無関係なのでは?”

という素朴な疑問にも答えをくれる。

 

なんて、初心者に優しいのだろう。

 

Who is BANKSY?
バンクシーとは誰か?

さまざまな角度から、現代アーティスト・バンクシーを紐解いていくページ。

語録集

現在、メディアによる取材には応答していないため、過去に実現したインタビュー記事の中から、よりバンクシーのキャラクターが現れている台詞を抜粋して紹介されている。

 

それらの言葉たちからは、想像通りというか、作品通りの印象を受け、どこかほっとさせられる。

 

中でも、

“大企業からのビッグオファー”を立て続けに断った若いグラフィティライターがいる”

という噂話にまつわるバンクシーの答えには思わず笑ってしまった。

 

こんな答えを持ってる人、他にいるのだろうか。

 

ぜひ、確かめてみてほしい。

 

ペストコントロールって何?

バンクシー本人が設立した"唯一の認証組織"について、わかりやすく解説されたページ。

 

特集を作るにあたって、『Casa BRUTUS』編集部もこの機関に接触を試みたらしい。

でも、唯一はっきりと返ってきたのは

Q.日本にやってくる巡回展はフェイクなんですか?

という質問の返答だけだったよう。

 

うーむ。

 

"知れてよかった。"

そう思うページ。

 

そして、東京都庁の防潮扉に描かれた”カワイイねずみ”に対しての問い合わせに応答しなかった理由もしっかり書かれており、すっきりする。

 

年表

バンクシーの歴史年表という形で書き記したページ。

この雑誌を読む上で、何度も振り返る、重要なページになると思うので、このページにはぜひ付箋を添えておいて。

 

The Walled Off Hotel
バンクシーパレスチナに建てた、”世界一眺めの悪いホテル”へ。

2017年にイスラエルパレスチナを分かつ分離壁の目の前に建てられた、バンクシーが手がけたホテルの紹介ページ。

Lobby / Piano Bar 【ロビー/ピアノバー】

バンクシー作品が視界いっぱいに飾られたロビーの写真も圧巻だが、

“本棚は実は客室に続く隠し扉で、ここには宿泊客だけが体験できる悪趣味でバカバカしい開錠の仕掛けが仕込まれている。”

という文字に、ワクワクさせられる。

 

また、どうやら展示の場所にも意味をもたせているようで、

”この作品の手の先にはあの作品”

など、ロビーという空間めいいっぱいに、バンクシーの思想が溢れていた。

 

その後も、

・Artist Room BANKSY【アーティストルーム・バンクシー

・Presidential Suite【プレジデンシャル・スイート】

・BANKSY Scenic Suite【バンクシー・シーニックスイート】

の3部屋(客室は全部で8部屋)と、

・Hall【廊下/踊り場】

が、展示された作品の紹介とともに紹介されている。

 

客室はもちろん、正面玄関や廊下にまでバンクシーブラックユーモアが溢れ、また、そのセンスの良さに驚く。

 

海外旅行をそもそもしたことがないけれど。

このホテルに泊まるのを目的に旅するのもいいのかもしれない。

なんて思わせてくれる。

 

いや、多分、そんな機会は訪れない気はするのだけれど。

 

Where’s BANKSY?
バンクシー作品を探せ!

なんて洒落たタイトルとともに、見開きを使った世界地図と、国ごとのバンクシーの代表作と考えられる作品たちが紹介されている。

 

そこには、もちろん”Japan”の文字も。 

●Bristol_バンクシーを生み育て、作品を守り続ける街。

バンクシーの出身地でもあり、イギリスにおいてグラフィティ文化の中心地ともいえる街。

 

ここまでは、切り取られた作品1つ1つを見ている感じがあったのだけれど。

ここからは、街の写真 "実際に街をキャンバスにして描かれた作品たち"が紹介されていて、”ストリートアート感”があり、見ごたえ抜群

 

“数時間以内に足されたという口元の黒いペンキがバンクシーの意図によるものかはわかっていない。”

“かつて性病クリニックだったビルの壁に描かれた、”

 

など、作品紹介にも街との一体感があり、ここまで散々80ページにわたってバンクシーについて読んできたのに、この新鮮な感覚に、まだまだ飽きず読みふけってしまう。

 

そしてここで挟まれる、下北沢の輸入レコード店〈DISC SHOP ZERO〉の店主・飯島直樹さんのお話が面白いんだ。

 

出だしの

ブリストルの住人は、バンクシーとその作品を街ぐるみで愛し、自分たちの宝物だと思っている。バンクシーの正体を暴こうとするマスコミとの攻防を面白がりながらも、ちゃんと口を閉ざしているしね。”

という言葉で、ギュインっと惹き込まれる。

 

また、ここまでブリストルの住人たちにとことん愛され守られている理由

・ブラックユーモア

・アンチの精神

・みんなを楽しませてやる!という精神

の3つだという解説には、とっても納得させられた。

 

確かに自分も、この3つに惹かれているのかもしれない。

と、スッキリ。

 

とってもわかりやすく、面白いお話だったので、ぜひ読んでみてほしい。

 

●London_ストリートアートを愛するUKグラフィティの聖地。

バンクシーブリストルからロンドンに拠点を移す。

ここはストリートアーティストがしのぎを削る街だけに、塗り変えられたものも多いという。

 

ここで特に個人的に興味惹かれたのは、バスキアに合わせて描かれた作品〈Basquiat〉。

 

昨年、バスキア展に行ってきたこともあって、こういったアーティスト同士の繋がりを知るのも面白い。

 

●Tokyo ●Osaka

知らなかった。

あの”カワイイねずみ”の他にも、ここ日本にバスキア作品存在していたのか。

 

恵比寿も大阪もあまり馴染みがない土地だからなぁ。

いつか、機会があれば。

 

●Bethlehem_分離壁への作品を更新し続ける、パレスチナの「核心」エリアへ。

今なお作品が更新され続けるベツレヘム

 

実際に行ってみたい。

この目で観てみたい。

 

そう思う作品ばかり。

 

だけれど、その前に。

バンクシーがこだわり続けるこの場所の勉強をしなければ。

聖書でしか、テレビのニュースをながら見でしか、知らないこの場所を。

  

BANKSY Works 
バンクシーの作風を知っていますか。

タイトル下のリード、

バンクシー作品は描かれた場所との関係に意味が生まれる。”

をより深く知ることができるページ。

アート的技法や、展覧会別にまとめてあり、初心者にもとってもわかりやすい。

 

映画ページで紹介されている、

『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』

日本公開を担当した、高橋直資さんの言葉

バンクシーの生き方やメッセージを深堀してほしい。”

が響く。

 

これからもきっと発表され続けるであろうバンクシーの作品を、少しでも自分で考えるためのヒントが作品紹介とともに散りばめられた、とても勉強になる企画だった。

 

 

 

読み終わって思うのは、

"やっぱりバンクシーの作品は、現地で実際にみてみたい。"

だった。

 

海外旅行したこともない引きこもりが何言ってんだ。

って感じだけれども。

 

バスキア展での違和感を、ふと、思い出す。

  

真っ白な壁に綺麗に飾られた作品たちを観て、覚えたこの違和感。

その正体も、ここにあるのかもしれない。

 

きちんと覚えておかねば。

 

そして、バンクシー展に行くかも、ちゃんと考えよう。

 

 

生きてく中で、アンチの精神を、反抗心を忘れてはいけない。

でもそれは自分勝手なものでなく、

周りの人間をちょっとクスッとさせるような。

 

バンクシーさんのように、人を楽しませるブラックユーモアもを添えたものに。

そんなあんばいも忘れずに。

 

そんなユニークな大人に、なれたらいいなあ。

 

ではでは、また。

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